肝臓疾患
肝臓は、「沈黙の臓器」とよばれていて、病気が進行するまでほとんど症状があらわれません。
肝臓疾患の代表的なものには、「B型肝炎」・「C型肝炎」・「脂肪性肝障害」・「アルコール性肝障害」があります。これらの病気は、無症状のうちに発見して治療を行わないと、少しずつ進行して肝臓が硬くなって「肝硬変」となり、「肝臓がん」を発生する主な原因となります。
ほとんど症状が出ない肝臓の病気だからこそ、定期的な検査をお勧めします。
当院では、肝臓専門医による肝臓の疾患の診療を行っております。
また、ウィルス性肝炎に対する治療を肝臓専門医のもとで受ける場合には治療費の助成が受けられます。
お気軽にご相談ください。
B型肝炎
B型肝炎は血液、体液を介して感染したB型肝炎ウイルスによって起こる病気です。大人になってからの感染は殆どが一過性の感染で慢性化する頻度は少ないです。
母子感染の場合キャリアとなって10歳代から30歳前後までに肝炎を起こして、殆どの人でB型肝炎ウイルスの増殖は沈静化して一生経過します。しかし、一部の人では慢性肝炎、肝硬変へと移行し、肝硬変まで進攻した時の肝臓癌がんのリスクは年率5-8%と報告されています。
一方で、免疫力が抑えられる治療薬(例:リウマチなどの治療薬)で沈静化していたウイルスが再び暴れ出すことがあります。沈静化した方、慢性化した方、ウイルスが再活性された方、いずれの方も将来的に肝臓がんのリスクを抱えてしまうので、適切な抗ウイルス治療を行い、定期的に画像検査を行うことで、肝臓がんの予防、早期発見に努める必要性があります。
C型肝炎
C型肝炎も、B型肝炎と同様に血液を介した感染様式ですが、B型肝炎よりも慢性化する確率が高く、放置していると15-20年で肝硬変、20-30年で肝臓がんの発生へと進みます。
以前は注射によるインターフェロン治療が主流でしたが、長期間かつ副作用が少なくない、という治療法でした。
また、ウイルス排除率も50-90%と決して良いものとは言えませんでした。
しかし、2014年以降、内服薬による治療法が確立されてきて、現在ではおおよそ3か月以内の内服治療により95%以上のウイルス排除が望めます。これにより肝硬変、肝臓がんへの進展のリスクを低減させることができます。
しかしながらウイルス排除後も肝臓がん発生のリスクがほぼなくなったとは言い切れずその後も定期的に超音波などの画像検査などを行う必要があります。
脂肪性肝障害
アルコール性肝障害
脂肪性肝障害とは、肝臓に中性脂肪やコレステロールが溜まった肝臓の肥満症とも言える状態で、「脂肪肝」ともいいます。この脂肪肝を放置していると、肝硬変へと進行して、さらに肝臓がんを発生させるリスクが高くなります。
お酒を日常的に大量に飲まれる方は、昔から脂肪肝から肝硬変、肝臓がんに進む、というイメージはみなさんお持ちかと思います。
近年では、
「お酒を飲まない方の脂肪性肝障害(NAFLD)からも低確率ながら肝臓がんが発生する。」
という知見が出ています。
生活習慣病と関連が深いと考えられていて、生活習慣の改善と、糖尿病や脂質異常症などを合併する場合にはあわせて治療を行う必要があります。
職場の健診などで肝機能の数字がひっかかったという方、一度肝臓専門医である当院にご相談いただけたら幸いです。